東京、渋谷駅の待ち合わせ場所として有名なモヤイ像の彫刻の前で実施したプロジェクト。待ち合わせ時、煙草を吸う人は少なく無い。しかしこのモヤイ像前、何故か灰皿が存在しないのである。暇を持て余しているに違い無い人々に、増山は一時のささやかな楽しみを与え暇つぶしをしてもらおうと考え、タバコを刺す新しいスタイルの灰皿を考案し設置した。
その名も「生けモク」。「シケモク」を「生ける」灰皿である。日本の伝統的なフラワーアレンジメントとして有名な「生け花」の、釘山に花を刺して形を整え作品化していくシステムを融合した灰皿。
増山は説明なしに不特定多数の人々に自然に煙草を生けさせる方法を思案し樹脂製のリアルな偽物のシケモクを10本程あらかじめ刺しておいた。その結果、目の前に突如現れた正体不明の未確認物体を、喫煙者たちは都合良く灰皿と判断し、煙草を刺していったのである。煙草が増えれば増える程、相乗効果で、目の前の物体はまさに灰皿にしか見えなくなる。自然と喫煙者が生けモクの周囲に集まってきた。やがてモヤイ像前でタバコ吸う人のほぼ全員が、自分が煙草を刺している行為の不思議ささえ考えず、ごくあたりまえのように「生けモク」に「シケモク」を「生け」ていった。降雨により作品を撤去するまでの5時間弱の間に計55本の煙草が刺さってこの作品は完成したのである。