展覧会にオープニングパーティはつきものだが、それらは美術業界における社交の場ととなってしまのっているのも事実だ。多くの人々は酒を飲み人々と会話をしにくることを最優先し、作品を真剣に見ていないのである。本作品はこういった美術業界の慣習への皮肉と問い掛けを込めた作品、すなわち、 アンチオープニングパーティのための反社交バーである。社交させないことが本作品の重大なコンセプトである。
 オープニング・パーティの来場者に社交させないため、ブースそれぞれが独立して存在する一人用のバーを制作した。個々のブースには西部劇の映画に登場するバーによくあるような両開きドアがついている。これを 4 個並べて設置した(Supposed Opening)。会場全体には実際のオープニングパーティでサンプリングした人々の喧噪が大音量で満たさている。個室には騒音防止用の耳当てがついており、装着すればパーティの喧噪の中、完全に一人を感じることができる。バーテンとの会話も厳禁なため、備え付けのメニューにチェックを入れる。ドリンクのグラスは鎖に繋がれて出てくるため外に持ち出すこともできない。客は一人用のバーでただひたすら一人で酒を飲むことを強制されることになる。
 本作品で増山は罠を仕掛ける対象をそれまでのパブリックプロジェクトにあるような不特定の普通の人から美術関係者にシフトすることに成功した。増山のアーティストとしての活動の脱皮を図る重要な作品である。いわば美術業界の玄人好みの作品であり、過去の増山作品にも共通する屈折したコミュニケーション手法など、共通のテーマも内包している。