新宿歌舞伎町は東京の性風俗産業のメッカである。その中でもとりわけ性風俗店ひしめく環境に位置する小さな公園、新宿区立歌舞伎町公園にサイトスペシフィックなインスタレーションを二日間設置した。その作品は日本の風俗店の一業種であるのぞき部屋の典型的な電飾看板を模したもので、いかにもあるようなキャッチ−なコピーとともに光り輝き、人々の注意を引くのである。スケベ心に期待を膨らまし恐る恐る看板にある穴をのぞいてみれば、そこにはまさに、恥ずかしいことを想像して穴をのぞいてしまった自分の「恥ずかしい姿」。3台の隠しビデオカメラによって撮影されたリアルタイムの自分の映像が映っているのである。自分の顔の映像も伴った三種類の映像は自動セレクターにより、数秒刻みで切りかわる仕組みとなっている。人々は「のぞく」つもりが「のぞかれている」という立場の逆転関係から、精神的な辱めを味わうことになる。
2日間にわたる設置の結果、子供から大人まで、ホームレス、サラリーマン、風俗関係者まで、年齢も職業も多種多様な人々が、まるで誘蛾灯に集まる蛾のように、この電飾看板に引き寄せられた。記録ビデオによると、作品を見に来た美術関係者は省き、延べ66人がのぞいているのが観測された。
日本の風俗産業はマーケティングのため、性を連想させる間接表現のテキストを使用するのが常套手段である。今回の電飾看板にも「恥ずかしい姿 見放題!」「安心!、無料!」という直接的でない表現のテキストを使用した。我々日本人は、こういった間接的表現から、想像を膨らまし、直接的なものよりもさらに強い性的イメージを抱くのである。本作品はそういった日本人の悲しい性につけ込み、人々に誤解を生じさせることを意図した、意地の悪い作品である。