「新宿歌舞伎町プロジェクト」を、スウェーデンの性風俗産業の事情に合わせて改良展開させた作品。 Kulturhuset における "Moving Japanese - Interfacial Space" グループ展出品作品。新宿歌舞伎町プロジェクトを気に入ったキュレーターから作品出品要請を受けたもの。
 「新宿宿歌舞伎町プロジェクト」は日本の性風俗産業と密接に関連した作品であり、同じものを単純に持ってきても成立しないと考えた。そこで増山は、展覧会前にストックホルムでスウェデーンの性風俗産業の実体をリサーチし、作品に反映させようと試みたのである。スウェーデンでは近年、性に対する規制が厳しくなり公には風俗店は存在せず、性を連想させるテキストやイメージすら公的な場では発見できなかった。唯一発見したのは多数のポルノビデオ店。その店の一つにおそらくチェーン店であろうか、外装にディズニーキャラクターのような子供向けキャラをお店のイメージキャラとして使用している店が存在していたのである。内部は成人向けなのに外部は子供向けというこのお店のちぐはぐな特徴を引用することにした。展覧会のテーマがビデオを使った作品のグループ展でもあったので、ポルノビデオ店からの引用はテーマにも合致すると考えたのである。
 美術館内部にスウェーデン・スタイルのポルノビデオ店を模したものを設置。外壁にペニスのメタファーとしての亀のオリジナルキャラクター とタイポグラフィー化した"Turtlhead Video Stockholm"の店名や店鋪の開店時間と書き記すことにより意味深長な滑稽さをかもし出そうとした。
 毒々しい紅色のカーテンをめくり。内部ののぞき穴をのぞくけば、新宿歌舞伎町プロジェクト同様に三ケ所に仕掛けられたビデオカメラによる自分の映像が数秒刻みで切り変わっている。しかし、今回はカメラを低い位置に設置したことによって、覗く自分自身のエロティックなアングルからの映像、文字通りの「恥ずかしい姿」が見えてしまう。前後それぞれの方向からの覗く自分自身の股間と唇の映像。もしスカートをはいていれば、スカート内部が映ってしまうのである。他人の恥ずかしいポルノをみようと思って個室に入っても、実際恥ずかしい思いをするのは自分なのである。
 ビデオカメラ設置方法によって新宿歌舞伎町プロジェクトのときよりも更に立場の逆転関係がより鋭く伝わる感じを与えること、そして曳いては直接的な性表現が主流である欧米スタイルに作品を適応展開させることを試みた。
 入り口の前には「この作品はあなたに不快感を与えるかもしれません。あなたの責任のもとに入って下さい。」という文章を掲げた。展覧会は約1か月間開催された。増山をはじめ日本側のキュレーターはスカートの中が見えるしかけを危ぶんだが、意外にも現地の美術館のキュレーターの反応や客の反応は心配に及ばず、むしろ女性たちも面白がっていた。国による明らかな性意識の違いが現れたのである。